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東京ノニ研究所 Dr. Noni

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東京ノ二研究所 ノ二通信 28−6号


土と野菜に学ぶ 〜50平米の小宇宙


東京医科歯科大学 名誉教授 東 洋

 植物は、太陽光、水、栄養分、酸素、二酸化炭素、気温、湿度、地温、虫、動物、微生物、微量元素など様々なものに正負両面の影響を受けながら生育している。

 周知のことながら、植物は動物のように移動することは出来ない。
暑いからといってクーラーのある部屋に逃げ込むことも出来なければ、寒いからといって暖房をかけることも出来ない。
寒ければ葉を厚く(糖分を蓄積)してじっと耐え、暑ければ根から水を吸って葉から蒸散し、その気化熱で葉面温度を下げる。
そんな風に植物は、動物以上に置かれた環境の影響を受け、それに適応しようとその姿
形を変えている。

 一方、「ジャックと豆の木」の豆の木は、雲をも突き抜ける程大きく育ち、沢山の実をつけることを初めて知った幼少の頃の“わくわく感”を今でも鮮明に思い出す。
しかし、「どうせ童話の世界」の感を拭い切れず時は過ぎていった。

 1986年のことである。筑波市で開催された「科学万博」において、途轍も無い「トマトの大木」が展示された。
水耕栽培によってトマトは大木に生長して一年間に3万個もの立派な実を着け、しかも多年に亘って生育可能であるという事実に遭遇した。その時の感動は今も忘れることはない。
 「豆」にも「トマト」にも“無限の潜在能力”が秘められていることを確信するに到るエポックメイキングとなった。
青森の木村秋則氏によるリンゴの無農薬栽培の成功も植物の潜在能力を実証した事実の一つであろう(石川拓治著「奇跡のリンゴ」、2008年、幻冬舎文庫、2013年映画化)。

 従って、どんな種類の植物であれ、“本来持っているはずの無限の潜在能力”を発揮させるための最適な生育条件を見付け、制限となる要因を取り除くことで、従来の常識を打ち破る結果を導けるに違いない。

 通常誰もがやっている、土耕の露地栽培であっても、その植物にとっての最適条件が見つかる筈である。
「トマトの水耕栽培」と「リンゴの無農薬栽培」成功の何れにも共通する究極のキーワードは、「慈愛」と「情熱」と「継続」と「信頼」ではなかろうかと睨んでいる。

 このような次第で、さまざまな愚行と奇行とを続けながら50平米の小さな菜園で連日奮闘している。
得られた知見が、無限の可能性を秘めた「幼子」を、「神童」から「天才」にまで育てあげるヒントに繋がることを夢想しながら。

 

   
東先生との想い出

 昭和47年、信州の小さな製薬会社に入社した。4月にも拘わらず雪が降った記憶は今でも残る。
2〜3ヶ月の新人社印研修を受けたが、最も不得意な薬理学の講師が、京都大学医学部に留学中の東先生であった。
ドプランという神経覚醒作用のある医薬品を中心に神経薬理学を研究されていたようだ。私の最初に手掛けた新薬だった。

研修では神経末端からの伝達物質の放出・細胞内カルシウムの遊離そして筋肉の収縮あるいは弛緩について、全く音痴の私を含む新入社員に熱く講義してくださった。

 数年後、会社で第一号の博士号を授与されて帰社。
以来薬理学の指導者として世界で初めての飲んで効く喘息の薬品開発に没頭され、信州の小さな会社を上場させるまでのヒット商品にさせた功労者です。

 
 一時、私の所属する安全性研究の責任者にもなり、新薬は安全性研究(毒物)から生まれることを確信し、新薬の種探しを行ったものでした。しかし、斬新なアイディアは小企業では総て時期尚早と断念。

 麻雀がお好きで、良くお付き合いさせていただき、小遣いを頂いたものです。麻雀は好きだが強くない上司は、最高の上司と言えます。

 東先生は、科学が無くなっていく会社を退職され、三重大学、次いで東京医科歯科大学へと移られ、一酸化窒素研究の世界的な研究者の地位を得られました。

 そして私も捏造データ作成を強要される製薬会社を辞めて、結果的に東先生の後を追った事になりました。(分野は違いましたが)


 ノニに出会ってから東先生の教室で不得手の薬理実験を指導して頂き、ノニの血管拡張作用、血小板凝集抑制作用(血液さらさら)を確認し、一酸化窒素や抗酸化作用にまつわる実験もご指導を受けました。

 一年前に埼玉のご自宅をお伺いしました。晴耕雨読、午後はワインを飲み昼寝をする自由な生活を送られていましたが、ノニのデータを見直し、一酸化窒素の増加を確認し、高血圧の抑制作用は、一酸化窒素の関与であるというごく最近の武庫川女子大学の研究とも符合いたしました。

 ノニの薬理作用を最初に手掛けて下さったのが、東先生。巻頭言で何
気なく叱 咤激励をして下さり、会社時代と変わらぬ部下思いの方。
 顔に似合わず細やかな心の持ち主、面倒見がよく大学では三十名近い博士号授与に貢献されています。

 著書「美代先生のシャープペンシル」は、先生のセンチメンタルな面を如実に表す隠れた名著です。

西垣